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広告を拡大する前に、損益分岐ROASを計算しよう

損益分岐ROASは、利益を生む広告と、気づかないうちに損をしている広告の境目です。価格、原価、送料、手数料、返品からの計算方法を、3つの具体例と無料の計算ツールで紹介します。

あるキャンペーンのROASが2.4で、みんな喜んでいます。でも、それで利益は出ているのでしょうか?この数字だけでは誰にも分かりません。価格の70%が手元に残る商品なら、ROAS 2.4は大儲けです。35%しか残らない商品なら、じわじわとお金が漏れていきます。それを決めるのが 損益分岐ROAS で、計算は5分で済みます。予算を上げる前にやりましょう。上げたあとでは遅いのです。

計算を飛ばして答えだけ知りたいなら、無料の ROAS計算ツール がブラウザ上ですべて計算し、各公式を結果の横に表示します。この記事の残りはその理屈なので、ツールが出す数字を信頼できるようになります。

損益分岐ROASとは

ROASは売上を広告費で割ったものです。$1,000 を使って $3,000 の売上なら、ROASは3.0です。損益分岐ROASは、1件の注文に残るお金が、その注文を獲得した広告費とちょうど同じになるROASです。これを上回れば、広告は利益を上乗せします。下回れば、広告が連れてくる売上の一つひとつが赤字になり、拡大すればするほど穴は深くなります。

あわせて知っておきたい数字があります。損益分岐CPA です。1件の注文を獲得するために広告に払える上限で、それを払っても収支は $0 で終わります。この2つは同じ限界を別の側から見たものです。一方は注文1件あたりのドル、もう一方は広告費1ドルあたりの売上です。

ステップ1:広告費の前に、1件の注文に残る金額

平均的な注文で顧客が支払う価格から、広告以外にその注文にかかるコストをすべて引きます。

  • 商品原価。 箱の中身を作る、または仕入れるのに払った金額です。
  • 送料とフルフィルメント。 配送料、梱包、ピッキングと梱包作業。
  • 決済手数料とプラットフォーム手数料。 カード決済の手数料と、マーケットプレイスやストアの取り分です。たいてい価格に対する割合です。
  • 返品。 返品される注文の割合に価格を掛けたものです。いちばん忘れられがちなコストです。

残った金額が、1件の注文が広告に使える上限です。これを「注文に残る金額」と呼びます。

ステップ2:2つの損益分岐の数字

  • 損益分岐CPA = 広告費の前に注文に残る金額。
  • 損益分岐ROAS = 価格 ÷ 広告費の前に注文に残る金額。

公式はこれだけです。実際にありそうな3つのショップに当てはめてみます。

例1:$60 のスキンケアの注文

価格 $60。商品原価 $18。送料 $7。決済手数料3%で $1.80。返品5%で $3.00。

注文に残る金額は $60 − $18 − $7 − $1.80 − $3.00 = $30.20 です。損益分岐CPAは $30.20。損益分岐ROASは $60 ÷ $30.20 = 1.99 です。

つまり、ROAS 2.4のキャンペーンはここでは利益を出していますが、多くはありません。ラインを上回るのは、広告費1ドルあたり売上でおよそ40セントです。

例2:返品の多い $45 のアパレルの注文

価格 $45。商品原価 $14。送料 $6。手数料3%で $1.35。返品25%で $11.25。

注文に残る金額は $45 − $14 − $6 − $1.35 − $11.25 = $12.40 です。損益分岐ROASは $45 ÷ $12.40 = 3.63 です。

同じROAS 2.4でも、ここでは売れるたびに赤字です。差のほとんどは返品によるものです。返品率が5%なら、この注文には $21.40 が残り、損益分岐は2.10になります。

例3:利益率の薄い $120 の注文

価格 $120。商品原価 $80。送料 $12。手数料3%で $3.60。返品10%で $12.00。

注文に残る金額は $120 − $80 − $12 − $3.60 − $12 = $12.40 です。損益分岐ROASは $120 ÷ $12.40 = 9.68 です。それほど高いROASを本格的な規模で維持するのは困難です。つまり問題は広告ではなく、価格か原価にあるということです。

注文広告費の前に残る金額損益分岐CPA損益分岐ROAS
$60 スキンケア$30.20$30.201.99
$45 アパレル、返品25%$12.40$12.403.63
$120、薄利$12.40$12.409.68

ステップ3:本当に目指すべきROAS

損益分岐とは、利益が $0 ということです。利益を残すには、広告に取り分を渡す前に、それを確保しておきます。利益率は価格に対する割合で考えます。

目標ROAS = 価格 ÷(注文に残る金額 − 利益率 × 価格)。

$60 の注文で利益率10%なら、利益は注文1件あたり $6 です。広告に回せるのは $30.20 − $6 = $24.20 なので、目標CPAは $24.20、目標ROASは $60 ÷ $24.20 = 2.48 です。ROAS 2.4のキャンペーンはそのわずかに下にいます。黒字ではあるものの、求めた利益率には届いていません。

そして、利益率がどうしても届かない場合もあります。$120 の注文に残るのは価格の10.3%です。たとえ訪問者がすべて無料で来たとしても、15%の利益率は絶対に出せません。計算ツールが「その目標は達成できない」と表示したら、これが理由です。

広告プラットフォームの表記に合わせて読む

プラットフォームによってROASの書き方は2通りあります。Google Ads はパーセントを使います。目標ROASのヘルプページ では、広告費 $1 あたり $5 の売上を目標ROAS 500%としています。Meta の ROAS目標 は倍数を使い、予算 $100 から $110 の購入、つまり110%のリターンという例を1.100と入力します。つまりスキンケアの損益分岐は、Meta の表記では1.99、Google Ads の表記では199%です。同じラインで、書き方が違うだけです。

アカウントに表示されるROASについて、注意点が2つあります。

  • 売上は発生した時点で計上される。 3週間後に返金があっても差し引かれません。だから返品は、プラットフォームの数字ではなく、自分の損益分岐に含める必要があります。
  • それはプラットフォームから見た「自分の手柄」である。 Meta は 購入ROAS を購入コンバージョン値を消化金額で割ったものと定義し、一部のイベントを直接カウントできない場合は統計モデリングを使うことがあると注記しています。予算を賭ける前に、ストアの実際の売上と比べましょう。

キャンペーンをラインと照らし合わせる

注文に残る金額が分かれば、広告費を引いたあとの利益は1行で出ます。売上 × 貢献利益率 − 広告費。貢献利益率とは、注文に残る金額を価格で割ったものです。

スキンケアのショップなら、その率は $30.20 ÷ $60 = 50.3% です。$2,000 を使って $5,400 の売上を出したキャンペーンには $5,400 × 50.3% = $2,718 が残るので、広告費を引いて $718 の利益です。同じ広告費で売上が $3,000 なら、残るのは $1,510 で、ROAS 1.50で $490 の赤字です。売上しか表示しないダッシュボードでは、どちらのキャンペーンも問題なく見えるでしょう。

拡大する前に、この4つを確認する

  1. 実際のコストを使う。 商品原価と送料は、1年前に作った価格表ではなく請求書から取りましょう。
  2. 実際の返品率を使う。 アパレルや靴では、何よりも損益分岐を大きく動かします。
  3. 商品ごとに計算する。 ショップ全体の平均は、売れるたびに赤字になる商品を隠してしまいます。
  4. リピート購入の扱いは意図して決める。 顧客が確実にリピートするなら、初回注文が損益分岐を下回っても受け入れる判断はありえます。それは顧客生涯価値についての選択であり、あとから気づくのではなく、書き留めておくべきものです。

一度計算したら、あとは回すだけ

数字を ROAS計算ツール に入力し、損益分岐ROASとCPAを、運用するすべてのキャンペーンの横に置いておきましょう。毎週月曜にスプレッドシートを作り直したくないなら、Hermoso はマーケティングを自動運転にするAIマーケティングエージェントです。その一環として、接続したすべての広告プラットフォームを読み取り、次に何を拡大し、何を止め、何をテストすべきか を、各判断の根拠となる数字とともに教えてくれます。キャンペーンを勝手に変更することは決してありません。

よくある質問

良い損益分岐ROASとはどれくらいですか?

万能の良い数字はありません。完全にコスト次第だからです。広告費の前に価格の半分が残る商品なら、損益分岐は2.0です。4分の1しか残らないなら4.0です。価格、商品原価、送料、手数料、返品から、自分の数字を計算しましょう。

損益分岐ROASはどう計算しますか?

価格から、商品原価、送料、決済手数料、返品のコストを引いて、広告費の前に1件の注文に残る金額を出します。価格をその金額で割ります。$30.20 が残る $60 の注文なら、損益分岐ROASは1.99です。

損益分岐CPAと損益分岐ROASは同じですか?

同じ限界を表しています。損益分岐CPAは注文1件あたりに使える広告費の上限で、広告費の前に注文に残る金額と同じです。損益分岐ROASは、価格をそのCPAで割ったものです。

損益分岐ROASに返品は含めるべきですか?

はい。広告プラットフォームは売上を発生時点で記録し、あとから返金を差し引かないので、返品は自分の損益分岐の側で見込んでおく必要があります。$45 の注文で返品率25%なら、注文1件あたり $11.25 のコストになります。